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建設業許可を取得したい方に、ざっくりとした概要を建設業許可お役立ち情報としてお伝えします。
ご参考になさってください(詳細は管轄の許可行政庁にてお尋ねください)。
建設業許可を取るための7つの要件の1つ「専任技術者(専技)」については別の記事で解説しました。
この専任技術者(専技)にはこういう人がなれるんだ、ということはお分かりいただけたかと思います。
それでは今回の解説記事では、専任技術者になる人が備えなければならない常勤性や一定以上の技術水準にあることなどは何をもって示していくのか?どんな確認資料が必要なのか?をざっくりとみていきましょう。
ちなみに、ここでの確認資料については、当事務所の対象エリアである東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を中心に概要を述べていきますが、詳細については管轄の許可行政庁にお問合せいただくか、建設業許可を専門に取り扱っている行政書士事務所にお問い合わせください。
それでは、一都三県でこんなに準備する資料が違うのか!というところを一緒にみていきましょう。
専任技術者とは、専ら営業所に必要な常勤の技術上の責任者のことをいいます。
建設業の営業所ごとに必要になり、契約した工事は技術上問題がないか?適正に施工されているか?などをマネジメントする技術上の責任者になります。
営業所ごとに許可を受ける建設業種の専任技術者が常勤しなければなりませんが、複数業種に対応した国家資格を持っている場合等は一人で専任技術者になることができます。
経営業務の管理責任者と専任技術者の両方の要件を満たしている人は、同一営業所内において、両方を一人で兼ねることができます。
そして、常勤とは、原則として本社、本店等において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。
では、この常勤性をどうやって証明していくのでしょうか?
基本は、専任技術者は営業所に通える範囲に住所がある必要があります。
通勤時間に片道2時間を超えるくらいの距離があると、電車の定期券やETCの記録などで本当に通勤していることを証明しなければなりません。
当然のことですが、他で個人事業を営んだり、他社で常勤はできません。
もし、他社の役員になっているとしたら、別に役員がいる中で当該会社から非常勤の証明をしていただかなければなりません。
次に、申請会社に所属していることの確認も必要で、これは会社名が記載された健康保険証のコピーが代表的な書類となります。
会社名が記載されていない等の場合は健康保険証コピーに加えて、確定申告書や住民税特別徴収税額通知書などが必要になります。
それでは、一都三県それぞれのちがいを簡単にみていきましょう。
東京都…法人の場合は、健康保険証(事業所名が印字されているもの)。事業所名の印字なしの場合は健康保険証の他に被保険者標準報酬決定通知書、住民税特別徴収税額通知書、会社役員の場合は法人税確定申告書表紙と役員報酬明細書、個人事業主の場合は健康保険証、所得税確定申告書第一表と第二表など。
神奈川県…一番の特徴は、会社の代表取締役や個人事業主が専任技術者になる場合は常勤性の確認資料は省略することができます。代表取締役や個人事業主は常勤していることを推定してくれるのでしょうね。その他の方については、健康保険証(事業所名が印字されているもの)。事業所名の印字なしの場合は健康保険証の他に被保険者標準報酬決定通知書、住民税特別徴収税額通知書、会社役員の場合は法人税確定申告書表紙と役員報酬明細書、個人の支配人の場合は所得税確定申告書など。
埼玉県…法人の場合は、健康保険証(事業所名が印字されているもの)。事業所名の印字なしの場合は健康保険証の他に被保険者標準報酬決定通知書、雇用保険被保険者証、住民税特別徴収税額通知書等、これらに該当しない場合は、報酬の入金記録のある預金通帳や源泉徴収簿や賃金台帳など。個人事業主の場合は、健康保険証と直近の所得税確定申告書表紙、または市区町村発行の所得証明書。
千葉県…住民票、常勤の念書、健康保険証(事業所名が印字されているもの)。事業所名の印字なしの場合は健康保険証の他に被保険者標準報酬決定通知書、被保険者記録照会回答票、住民税特別徴収税額通知書。会社役員なら法人税確定申告書表紙と役員報酬明細、個人事業主なら所得税確定申告書表紙など。
技術上の責任者として、当然に相当程度の技術的な能力が求められます。
建設業許可申請の際にはその技術上の高度な能力を証明するわけですが、国家資格を持っていることで証明するか、実務経験から証明するかの2パターンがあります。
国家資格を持っていれば能力の証明は楽ですが、実務経験での証明はなかなか大変な作業になります。
過去の実務経験を証明する会社が建設業許可を持っているならまだマシですが、許可業者でない場合は資料収集等が皆さん苦労されるところになります。
・一般建設業許可の専任技術者になるためには
許可を取る業種ごとに、専任技術者要件として定められた国家資格等があります。
これを持っていれば、専任技術者になることができます。
(一部、合格後の実務経験を求められている資格もあります。)
具体的に建設業のどの業種がどの国家資格等と対応しているかは、それぞれの工事業種の解説記事がありますので、詳しくはそちらで確認してください。
次に、資格ではなく実務経験を証明することで専任技術者になることができます。
・学歴を問わず10年以上の実務経験のある方
・高校等卒(指定学科)後、5年以上の実務経験のある方
・大学等卒(指定学科)後、3年以上の実務経験のある方
国が指定した学科の卒業生は技術的な素養有りとみなされるのでしょう。
実務経験の要件が10年から短縮され、3年や5年でOKとなっています。
この、国が指定した学科についても、具体的に建設業のどの業種がどの指定学科と対応しているかは、それぞれの工事業種の解説記事がありますので詳しくはそちらで確認してください。
そして、この実務経験についてですが、建設工事の現場で事務や雑務(掃除など)をしているくらいでは認められませんが、工事作業員や現場監督、発注者側の設計に従事した経験などが認められています。
補足ですが、専任技術者の実務経験としては人工出しや応援等の経験を認めてくれる自治体がありますが、労働者派遣法違反等の疑義有りとして認めていない自治体もあるので注意が必要です。
各種書類をもって、この実務経験を証明していくことになるのですが、これが一番大変な作業でして、従業員さんの中に工業高校や工業系の大学の指定学科卒の方がいらっしゃり専任技術者になれば大幅に負担が軽くなりますよね。
もちろん、営業所の技術上の責任者になるわけですから誰でも良いわけではないですし、その方が欠けた場合はその業種を廃業しなければなりません。
そのため、専任技術者を現場の従業員に指定する場合には慎重に人選する必要があります。
そして、比較的新しい制度として、平成30年4月から登録基幹技能者資格で専任技術者になれるようになりました。
この登録基幹技能者には講習とその後の考査に合格するとなることができます。
講習の受講資格が10年以上の実務経験と3年以上の職長経験が必要なので、この資格者であることを証明できれば専任技術者(主任技術者)の経験を満たすということになります。
・特定建設業許可の専任技術者(専技)になるためには
特定建設業許可の専任技術者には一般建設業許可に比べて、下請業者保護のためさらに重い要件が課されています。
大きい工事を請負うことが多い建設業者の許可ですから、その技術上の責任者の責任は重くなって当然だと思います。
一般建設業許可の専任技術者が2級の国家資格者でも良いところを1級の国家資格等を求められ、これが特定建設業許可の専任技術者の要件となります。
土木工事業、建築工事業、管工事業、電気工事業、舗装工事業、鋼構造物工事業、造園工事業の7つの業種については(指定建設業と言われます)、この1級の国家資格者のみが認められ、以下の実務経験等では特定建設業許可の専任技術者にはなれないという規定になっております。
次に、上記の7業種以外の22業種については、実務経験を要する一般建設業許可の専任技術者要件に加えて特定建設業許可では2年以上の指導監督的実務経験が求められています。
一般建設業許可の専任技術者の要件を満たした上で、元請業者としての4,500万円以上の工事について2年以上の指導的な立場を経験していることが必要になります。
ここでいう指導的な立場というのは、工事現場の主任者や監督者のような役割ということになります。
◆それでは、一都三県それぞれのちがいを簡単にみていきましょう。
東京都…①技術者の要件確認が国家資格者等の場合は、その合格証、免許証、所定学科の卒業証書等コピー(原本提示)。東京と埼玉は原本が申請時に必要になるのですが、技能検定の合格証書はA3サイズでして、これを丁寧に扱いながら移動などするのにいつも神経をすり減らします・・。(神奈川、千葉のようにコピーでOKなら大変楽ではあります)
原本を紛失している場合は再発行の必要があり、余計に準備に時間がかかってしまいますので注意が必要です。
②技術者の要件確認が実務経験の場合
⑴証明者が許可業者の場合は、許可通知書や決算変更届副本、廃業届など2枚あれば(最初と最後の確認が取れれば)、その期間の該当業種がOKです。許可通知書のコピーなどが無い場合も、許可行政庁、許可番号、許可業種、許可期間を示します。
⑵証明者が許可なし業者の場合は、業務内容が明確に分かる工事請負契約書、注文書、請求書などの期間通年分が必要になります。
請求書については月に一件必要になりますし、入金確認の通帳原本も追加で必要になります。特定建設業許可の指導監督的実務経験については、実務経験証明書に記入した工事の契約書の原本と施工体系図等が必要になります。
※東京都では、この②の実務経験期間の常勤の確認が求められています。
上に記載した許可通知書や注文書などの期間と、専任技術者の在籍期間が一致しなければなりません。(以下の書類のいずれかで証明します)
健康保険証(事業所名と資格取得年月日の記載されているもので、引き続き在籍している場合に限る)。被保険者記録照会回答票、住民税特別徴収税額通知書、会社役員の場合は法人税確定申告書表紙と役員報酬明細、個人事業主の場合は所得税確定申告書第一表と第二表など
神奈川県…①技術者の要件が国家資格者等の場合は、その合格証、免許証、所定学科の卒業証書等。神奈川の場合、コピーに原本証明をすれば申請時に原本は不要です。
②技術者の要件が実務経験の場合
⑴証明者が許可業者の場合は、許可行政庁、許可番号、許可業種、許可期間を示します。東京や千葉と違い、許可が抹消(廃業手続きなしで許可失効すること)されていても抹消されるまでの期間は経験期間としてみてくれます。
⑵証明者が許可なし業者の場合は、神奈川県特有のものとして、証明期間分の法人税確定申告書(or添付の法人事業概況説明書)、所得税確定申告書の事業種目欄に申請業種が明確に記載されていれば、これでOKとなります(土木一式、建築一式工事については当てはまらないですが)。
これがない場合は、工事の請負契約書や注文書、請求書・入金記録などで年に一件以上添付し経営経験を示します。
特定建設業許可の指導監督的実務経験については、実務経験証明書に記入した工事の契約書、注文書の原本が必要になります。
※神奈川県も東京都と同じで、原則はこの②の実務経験期間の常勤確認が求められています。ただし、会社役員の場合は履歴事項(or閉鎖事項)全部証明書で期間の確認ができればOKですし、個人事業主の場合は所得税確定申告書で期間の確認をします(特例なのか、個人事業主の場合は上に記載の年に一件の確認資料等のみの対応でその期間は認めてくれる運用に現在はなっています。)
会社役員や個人事業主以外の方が専任技術者になる場合は、被保険者記録照会回答票、健康保険証のコピー(事業所名と資格取得年月日の記載されているもので、引き続き在籍している場合に限る)、源泉徴収票、源泉徴収簿などで証明していくことになります。
埼玉県…①技術者の要件が国家資格者等の場合は、その合格証、免許証、所定学科の卒業証書等コピー(原本提示)。
②技術者の要件が実務経験の場合
⑴証明者が許可業者の場合は、許可が抹消していても5年の期間をみてくれます(神奈川も同様。東京と千葉はみてくれません)。特定建設業許可の指導監督的実務経験については別途確認資料が求められます。
⑵証明者が許可なし業者の場合は、業務内容が明確に分かる工事請負契約書、注文書、請求書などの期間通年分が必要になります。
請求書については月に一件必要になりますし、入金確認の通帳原本も追加で必要になります。
(埼玉県では令和3年4月現在、運用が少し変わりました。月に一件ではなく若干緩和されました。詳しくは埼玉県の手引き等でご確認ください)
※埼玉県は②の実務経験期間の常勤確認が自社や個人事業主では求められていませんが、それ以外の他社の実務経験期間では求められます。
他社経験で専任技術者になる場合は、被保険者記録照会回答票、健康保険証のコピー(事業所名と資格取得年月日の記載されているもので、引き続き在籍している場合に限る)、源泉徴収票、給料明細書及び給与の振込が記録された預金通帳の原本などで証明していくことになります。
千葉県…①技術者の要件が国家資格者等の場合は、その合格証、免許証、所定学科の卒業証書等コピー。
②技術者の要件が実務経験の場合
⑴証明者が許可業者の場合は、許可通知書や決算変更届副本、廃業届など2枚あれば(最初と最後の確認が取れれば)、その期間の該当業種がOKです。許可通知書のコピーなどが無い場合も、許可行政庁、許可番号、許可業種、許可期間を示します。
⑵証明者が許可なし業者の場合は、工事の請負契約書や注文書、請求書・入金記録などで年に一件以上添付し実務経験を示します。千葉県の場合は全てコピーでOKです。
※千葉県も埼玉県と同じで、②の実務経験期間の常勤確認が自社や個人事業主では求められていませんが、それ以外の他社の実務経験期間では求められます。
(ただし、千葉県特有なのですが、他社の実務経験期間について当該他社が証明してくれるのであればそれをもって現在の運用としては認められています。)
他社経験で専任技術者になる場合は、被保険者記録照会回答票、健康保険証のコピー(事業所名と資格取得年月日の記載されているもので、引き続き在籍している場合に限る)、源泉徴収票などで証明していくことになります。
ちなみに、ひと現場あたりの請負金額が500万円を超えると、許可なしの業者さんは建設業法違反になってしまいます。
建設業許可の新規申請の際、確認資料に無許可時代の500万円超の請負が判明した場合は、東京都では口頭指導が行われます。
イエローカードのようなもので、心を入れ替えて許可取得後に法令順守に励むことを条件として許可申請の確認資料として認めましょう。ただし、許可取得後に何か法令違反があった場合は、加重に罰せられる可能性がありますよという運用に現在はなっています。
神奈川県は始末書を出さなければなりませんし、埼玉県は後日社長が呼び出され指導を受けます。そして、許可が出るまで通常より長期間を要します。
千葉県に関しては、確認資料としてその分の経営経験としては認めてもらえませんし、後日社長の呼び出しがあり指導を受けることになります。
これらの各行政庁の運用は随時変わっていくと思われますが、現在(令和3年春)の運用を参考までに述べてみました。当事務所がいま現在で理解しているところになりますので、内容については一切の責任を負えませんので予めご了承ください。
許可を取りたい業種に対応する国家資格者、あるいは相当期間の実務経験者が社内にいないと許可は取れないということになります。
しかも、(許可なし業者での)実務経験があると証明することがなかなか大変で、これが原因で建設業許可をあきらめる方が本当に多いです。
一都三県でも大きく確認資料の内容が違いますし・・・。
その他にも一都三県それぞれで細かい違いはたくさんありますが、代表的な大きいところだけみてきました。
こんなに揃えなければならない資料が違うんだ、と驚きますよね!
なぜ、県をまたぐと、こんなに違うのでしょうか?
そこの背景には色々な理由があるでしょうし、折々で運用が変わっていくでしょうし、審査官によっては違う解釈の方もいらっしゃるかもしれません。
詳細は管轄の許可行政庁や建設業許可に詳しい行政書士などにリアルタイムでお尋ねいただければと思います。